私なんぞのブログを律儀に読んで下さっている読者の皆様(ありがたい!)もほぼお忘れになっていると存じますが私は長年米国住みで、アメリカのシットコムが大好きだった人間です。
そういうわけでアメリカ人の好みとかアメリカに全く住んだ経験がなくアメリカのシットコムをほぼ見ていない日本の方々よりは、この件については私の方が判断力が高いと思うけど、三谷さんX香取さんコラボのアマプラの『誰かが見ている』、間違いなくアメリカ人は好きだよ。
日本のバラエティーの中では実はダウンタウンの(が中心になってやってる)一昔前の『ガキ使』が英語圏のネット民には秘かに人気なのですよ(みんな違法動画で見てるんだと思うけど。Huluで見れるのかな?)。だから『誰かが見ている』も、見てもらえさえすれば好きだと思う。ただ、アメリカでは他にも面白い番組わんさかあるから気がついてもらえるかどうか、が要。残念ながらそういうわけでアメリカで流行るとは思えないけど、英語圏でニッチなヲタを開発できるポテンシャルはあると思う。
たしかにオールドファッションドのスラップ・スティックなんだけど、面白いものはスタイルが古かろうと新しかろうと面白い。私はスラップ・スティックっぽいシーンの多いアメリカのシットコムは今でも大好き。前にも言ったと思うけど、私にとってのアメリカのシットコムの最高傑作は「サインフェルド」もだけどバーを舞台にした「チアーズ」から派生した、シアトルのセラピストを取り巻く人々にフォーカスした『Frasier』。いろいろ誤解があったりズッコケがあったりをとても洗練された会話と演技でお話が進む私にとって最高のエンターテインメントでした。
私は香取さん含めてSMAP5人のファンではあっても三谷さんのファンではない。今後も三谷ファンにはならないと思うけど、私が今回三谷さんが凄いと思ったのは、その意欲とチャレンンジ精神。
そのへんまでは詳しくないけど、アメリカのシットコムで休憩なしでワンカメで30分収録なんてやんないでしょ?
そしてなんでそういうチャレンジをやるかというと、見ているお客さんを楽しませて彼らの自然な笑い声を入れたいから、っていう超納得する答。
さらに、まあこれはシットコムの脚本家ならやって当然なんだけど、今回見た1話、2話、伏線回収をちゃんとやって最後にものすごくきちんとしたオチをつけている。私たちが見た後に半端ない満足感を感じるのは、三谷さんが伏線回収と最後のオチつけるのをを物書きの職人技みたく律儀にやってるから。
あと、西田さんや山寺さんみたいに特殊ケースは別として出演者のアドリブを許さないのもこのシットコムドラマがシャープにまとまっている理由の一つ。
三谷さんが言ってたことで、ああ新しい、面白いな、と思ったのは映像として見てるんだけど、あたかも劇場で舞台劇を見ているような臨場感を出したかった、と言っている点。私にとっては凄い新鮮だし、シットコムドラマの新しい可能性が開かれた感じ。
最後に、藤島ジュリージャニーズ社長さんの嫌がらせとテレビ局の彼女への忖度ゆえに地上波テレビをむちゃくちゃ干されて、「新しい地図」の3人とスタッフが活路を見出したのが「世界的規模でビジネスを繰り広げる」アマゾン・プライムビデオだったという偶然(必然?)!!!!!
地上波の影響力はまだまだ大きいし、3人が地上波ドラマに出られたらアマプラでやろうとしたかな、って考えると、いや、やんなかったんじゃないかなー、ってふつうに思えるわけ。
藤島ジュリーさんの多岐にわたる嫌がらせによって、芸能生命を絶たれるかも、っていう絶体絶命の危機、って言うのはちょっと大げさかもしれないけど、まあ、それに近いような感じで崖っぷちに立たされた時、「ネット落ち」なんていう意地悪な悪口も言われることも覚悟して、ありがたくオファーして下さった(ってか飯島さんが頑張って営業してくださったのでしょうけど)アマプラ、という選択肢を取った、、、、
そして、それは世界へ羽ばたく窓口だったというわけ! Wow!
なんつーか、凄い、素晴らしいと思う。
私、このブログにももちろん書いてると思うけど、吾郎さんの『東京BTH』も好きすぎるほど好きだったけど、三谷さんみたいに有名なだけじゃなくて、オリジナルで先駆的なことをやろうとする人とコラボすることによって世界へ羽ばたけるとは夢にも思ってなかったわ。SMAPさんもスマーチームスタッフも凄いし、運を持ってる感じ(吾郎さんの『東京BTH』はドラマのセリフとアドリブを混ぜたと言う点では実は『誰かが見ている』より新いっちゃ新しいんだけどね。新しくて面白いものを打ち出した制作者と役者さんたち、凄いと思う)。
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さて、吾郎さんが世界に羽ばたくのは『ばるぼら』で、です。こちらも、おそらく藤島ジュリー社長の意地悪で日本での公開が今年の終わりになってしまいましたが、吾郎さんも二階堂ふみさんも演技力が凄いこと、大胆で耽美的な性的描写などで海外でも話題になっている様子ですよね。
この作品の原作は手塚治虫の漫画ですが、その漫画の原作といってもいいのは谷崎潤一郎の『痴人の愛(英語の題名はヒロインの名前の「Naomi」)』です。新感覚派の川端もそうだけど耽美派の谷崎は欧米の日本文学研究者たちの間では研究がとてもさかん。
その上、漫画原作は海外でも有名で、鉄腕アトムも漫画やアニメが『Astro Boy』として出版されている手塚治虫(『Astro Boy』はこの作品についての学者さんの研究書も出ているのよ)。
映画『ばるぼあ』はハリウッド映画みたいに大衆の間にヒットするようなものじゃないけど、海外の映画ファンにも(もちろん日本の映画ファンにも)高評価される通好みのパワフルな作品だと思う(海外のレビューを読む限りでは)。
日本では上映する映画館の館数は限られると思うけど、谷崎潤一郎の有名小説がもともとの原作で、手塚治虫の漫画原作で、大胆な性描写があって、役者が舞台なんかでもこういう役をやった経験がある稲垣吾郎と二階堂ふみという力のある人たち、という点で世界に羽ばたける、っていうかもう海外で公開されてそれなりに話題になってるよね。
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香取、稲垣の両人も新しい地図のスタッフも「世界のSMAP」を目指してこういったシットコム・ドラマや映画を作ったわけではなく、地上波ドラマや大手映画会社の作る映画に出ることができなくなってある意味、藁をも掴む気持ちで手にしたチャンスが偶然海外進出につながったということだよね。
ってか私が皮肉だと思うのは、去年の秋から東京五輪に絡めて必死に英語曲を歌わせて海外に嵐を売って行こうとしている藤島ジュリージャニーズ社長の野望がなかなか果たせない感じなのに、「ネット落ち」と悪口を言われそうなアマプラドラマ、『誰かが見ている』、上映館も少なくて興行成績でディスられそうなミニシアター系の映画、『ばるぼあ』で新しい地図チームは軽々と「海外進出」を果たしてしまっていること。
なんつーか皮肉の極み(SMAPファンにとっては嬉しいよねw)。
さらに、稲垣さんはコロナ禍がなければ舞台のNo.9でウィーン公演があったはず。
香取さんは慎吾ちんの「歌ってみた」がバズってYoutubeでヲタ専を超えて一般に受けてる。
さらに草彅さんの『ミッドナイト・スワン』は類稀なる名作っぽいから、ファンだけじゃなく広く一般の映画ファンも見てくれそうだし、海外での上映ももちろん期待できる。
気が早いけど、ニューヨークで日本文化を紹介する事業をしている歴史ある団体、Japan Societyは毎年夏に”Japan Cuts”と呼ばれる映画祭を開催しているから、ここで上映してもらえたら素晴らしいと思います。前衛的な作品が多く上映されてるし、『ミッドナイト・スワン』テーマ的にもクオリティー的にも”Japan Cuts”にはとても相応しい作品だと思うよ。
木村さんも海外向けにはきっと将来いろいろチャンスがあるはず。彼は中国やアジア圏で知名度がとても高いことも有利に働くはずです。
中居さんは海外進出より、まずファンのためにできるだけ早く歌とダンスのパフォーマンスを。話はそれからだw。
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アンチの人たちからは「新しい地図はヲタ専」なんて悪口言われてるのに、斬新な形で海外進出を果たしつつあるSMAPさんたち。
ワタシなんぞの想定の斜め上を行って予想を裏切るの、ホント素敵!
Yumey