ジャポニスム2018:SMAPの「スキマ」仕事とブランド戦略

何ヶ月も更新がなかったブログで怒涛の更新、って一体何やねん、とお思いの方も多いかと思いますが、たまたま書く時間があるので思いついたことは書いておこうかなあと。

SMAPファンの間では、香取さんがフランス、ルーブル美術館で開催される日本の現代美術、映画、舞台を紹介するジャポニスム2018の広報大使に就任、香取さん自身の個展も同時開催、というニュースが駆け巡りみなさまいろんな感情を持たれたのではないでしょうか。吃驚したり、嬉しかったり、誇らしかったり、あとは慎吾ちゃんが遠くに行ってしまうようなちょっと寂しい気持ち。

私はこの仕事をSMAPがやってきた戦略の踏襲、つまり中居さんのいう「隙間」産業だと位置付けています。つまり、他の人がやっていない「スキマ」を見つけて仕事にするというもの。もう一つのSMAPが使っていた戦略でこの件に深く関係するのがブランド戦略。

パラサポ支援もですが、ジャポニスム2018もSMAPの香取慎吾、アーティストであり、日本のJ-popカルチャーの具現者であり、スマスマやスマステを通じて日本の映画、舞台芸術からアニメまで広く知る機会があったテレビタレントの香取さんは、ジャポニスムの広告塔としてはまさにうってつけ。しかも生放送で20年近く鍛えられているからその場で素早く考えてコメントもできるし、偉い人と会った時の対応はスマスマで学習してるし、北京コンサートでも中国政府が正式に招聘されたゲストとして立派に役目を果たした経験も。さらに、香取さんはジャポニスム2018の展示やイベントの様子をリアルタイムで世界中に発信できる。しかも少なくとも日本では抜群の知名度があり(ジャニ事務所の圧力でテレビから干されていることもあって)時間がある。外務省の外郭団体である国際交流基金が香取さんに白羽の矢を立てたのもうなずける。

だけどここで私が言いたいのは、たまたまこの仕事が同じくらい効果的にできてしかも時間が取れる人がほぼいなかった、ということも理由でしょうから、他にあんまりふさわしい人がいなくて仕事がある、っていう状況で、スッと「スキマ」に入り込んだ、みたいなとこがあるんじゃないかな。そしてその「スキマ」仕事がSMAPがやった後、人気の定番になったり権威を持ったりすることもある。

SMAPさんたちは謙虚で優しくて他の人たちの仕事を奪い取ったりしたくない人たちだと思う。だから自分たちで「スキマ」を探してできるだけ他と被らないように仕事をしたいんじゃないかな。あんまりジャニ映画やってない時期に期間限定でやった「クソ野郎」の映画もそうだし、アベマテレビもそうだよね。

踏襲しているもう一つのやり方としてはブランド戦略。こっちは飯島さんの功績が大きいけど、SMAPはCM(特に5人のCM)の企業を厳選したり、お金と手間をかける、あるいは有能なクリエーターを探して凝ったユニークなCMを作ったり、あと、5人やメンバーの露出を絞ったりして「高級感」を出す戦略を実行。

香取さんの今回の広報大使の仕事やルーブル(といっても本館ではなくて付随の商業施設の中のホールなのだけど)での個展も明らかにブランド戦略の一環。もちろんカルティエやBMWのプロモーションの仕事も同様。

ここで私が思い出してしまうのは、SMAPが一旦解散になる前だったけど、大手掲示板でSMAPの「5人が一緒に事務所を退所してくれないかな、退所してくれたらドサ回りでデパートの屋上の興行なんかやらなきゃいけなくなっても私はSMAPについて行くわ」なんて豪語していた熱いファンの人たちなんだけど、そこで冷静に「う〜ん、高級感があってファンにとってちょっと雲の上なのがSMAPなんだから、デパート営業スマはもうスマではないのでは?」って言ってる人がいて、何を言いたいかというと、2000年代以降の5人集まった時のSMAPとは定義に置いて「ゴージャス・ラグジュリアス・リッチ・高級・別格・豪華」を身にまとったようなグループだったんじゃないかな、って言うこと。要するに飯島さんは細心の注意を払ってそういうブランディングをしていたってこと。で、それは「ジャニタレ」「アイドル」としてバカにされ、格下に見られていたSMAPをはじめジャニーズのタレントの地位を上げるために必要だったし、有効だった。

3人がジャニ事務所という大きな後ろ盾を失い、かつて所属していたその事務所に嫌がらせをされている今、ブランド戦略というのはかつてないほど重要になっている。第一ネットテレビ=2軍、3軍落ち、という地上波至上主義がまだまだはびこっっているし、3人はCMとまれにNHKや地方ローカルの番組なんかに出演する以外地上波のテレビからは完全に干されている。高級ブランドや東京五輪やパラリンピックとも深く関連する国が推進するジャポニスム2018の公式広報大使に任命されたことは、SMAPブランドを維持し、ニュースでの地上波露出のためには、これっきゃない、くらい新しい地図側としてはある意味捨て身の戦略。つまり、余裕のあるところから選択した仕事ではなく、崖っぷちの努力なんだと思う。そうでなかったら芸能人として格落ち必須。

香取さんが遠くに行ってしまうような気がしているファンは、アンチの人たちの言葉を有効利用して、香取さんの個展はルーブルとはいえ本館じゃなくてカルーゼル・デュ・ルーブルという商業施設の中にある貸しギャラリー、ってぶつぶつ言ってみたらどうかな。何ていうのかな、今、新しい地図の3人が置かれている結構大変な状況を考えると地方のファンのために巡回展示みたいなのでなく、「ルーブル」で開くってことが必要だったのよ。でも、その個展のタイトルは「NAKAMA」des Artsに決めてファンにもリスペクトを払っている。

慎吾さんはルーブルで箔をつけた後必ずフランスに行けない地方のファンも会えるように計らってくれると思うよ。2000年代、SMAPが「国民的」になっちゃって遠くなってしまったように感じたファンも少なくなかったと思うから今回も似たようなものだけど、今回の箔付けで大事なのは、権威のある仕事によって地上波テレビでの露出への突破口を開こうとしていることじゃないかな。アベマテレビもYoutubeもSNSもいいけど多くのファンの寂しさを癒すことができるのは地上波テレビ露出でもあると思うし。もっと言えばルーブルは、SMAP5人の合流や毎年のライブかファンミも含めてSMAPが通常運転に戻るための手段と考えればいい。

最後に、寂しい思いをしてるファンの人は新しい地図に素直にその思いを伝えたらいい。ホンネテレビや映画の成功もファンの心からの応援がなくてはなかった。ジャニ事務所時代最後の2年死ぬほど辛い思いをして芸能生命をキープできるかどうか、おそらく真剣に心配した3人はファンのありがたさをよくわかっている。あのマイペースの吾郎さんがさらっと「死ぬまで忘れない」っていうほどだから。私たちが各自5000円ファンクラブに収めた会費がなくては、映画制作や3人の活動もままならなかったことは飯島さんがおそらく一番よく知っている。

現実的に考えたら、3人っていうか2人に会うための一番の近道は、映画の舞台あいさつでできるだけ地方を回ってくれるように頼むことかな。落ち込んだ時行動するのはしんどいけど何かしなければ私たちの望む方向には変わらない。

Yumey

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