香取慎吾ルーブル個展についての感想

ネットのレスで誰かが、香取の絵には自分の感情の赴くまま、何か目的があって描いたのではない絵と、カルティエやパラサポ、BMWから依頼されて仕事で描いた絵と二種類あるって言ってたけど、凄く当たってると思う。

仕事の絵は見てて心地よくて予定調和でアート作品としてもかなりいいレベルなんだけど、嬉しい楽しい時のワクワク感や、どん底の悲しみや激しい怒りや悔しさや不安がガーンと表現されていて見る人の心を打つ「個人的な」作品とは違っていて、私はやっぱり後者の方に胸を打たれます。

下はパリまで行ったお友だちが提供してくれた写真。カルティエやBMWの原画はこんな感じ。

私はほぼ全作品の写真を見たけど、慎吾ちゃんがシルクドソレイユのサーカスを見て、超感動して興奮して描いた下の絵は全作品の中でも私は好きだな。慎吾ちゃんは普段はそれほど使わないパステル調の明るい色と絵に描かれている対象物も夢のあるタッチで描かれていて、慎吾ちゃんのウキウキ、ワクワクが伝わってくる。他の作品は額縁を付けてある方がめずらしいのに、この作品は石やキラキラでデコった豪華な額縁に収められています。タイトルは「宝箱」。

でも実はこの展示会に出されている絵は絶望的に悲しい絵が多くて、それらはとても美しかったり、激しく心を動かされたりするのだけど、SMAPファンとしては見るのが辛い絵も多い。例えば、下の「SCAPE GOAT」というタイトルの絵。

他のヤギたちがわらわらふつうに生きているのに、一匹だけ死んだヤギ。他のヤギたちが死ななくていいように生贄にされたヤギ。SMAPだよね(涙)。静謐な美しさのある絵だけど、私は長い間見ていられない。

ツイで多くのファンの人たちが言及しているけど、下の絵は明らかに「J」に足蹴にされて、「嫌だ、ありえない=No」を叫び続けるSMAPのメンバーたち。一つだけ彼らが「Yes」と言える条件があったのだろうけど、それは何だったのかな?5人揃ってSMAPの権利も持っていく形のジャニ事務所からの離脱とか?それは2016年の9月にはボツになったんだよね。個人的には全作品の中でこの絵は一番パワーがあると思っています。

全作品を網羅して見てわかった驚愕の事実もあります。SMAPは本当はおそらく2014年に解体される予定だった、ということ。2013年に製作された一連の作品群を見てみてください。慎吾ちゃんが「2013年に裏では酷いことが起こっていたんだよ」ってファンにわかって欲しいのか、これでもか、これでもか、みたいに、悲しい作品が展示してあります。

タイトルは「RiGi RiGi NO Life (2013)」。慎吾ちゃんの意図を解釈して訳すと、「ギリギリの命」あるいは「ギリギリ、Noライフ」。崖っぷちで落っこちそうになってるSMAP、あるいは慎吾自身の芸能生命。

下の絵は、口をぽかんと開けて唖然とした表情の人物が描かれている「明日はない(2013)」。SMAPと芸能活動が自分のすべてだった香取さんは、SMAPがなくなって自分の芸能活動もできなくなってしまったら、もう頭真っ白、唖然とするしかない、ってことだったのかな。

下は5スマカラーで涙をぼろぼろ流している人。無題。2013年。

次のはファンの間ではよく知られてるけど、2016年に制作されてものではなくて、2013年のものだったことが興味深い。目隠しをされて自分に何が起こっているのかもわからず、幸福の王子のように身ぐるみ剥がされて、企画も番組も歌もグループも奪われて丸はだかになったSMAPのメンバーたちを見て心ある人たちが涙を流して悲しんでいる、っていう絵だったのかな?

2013年には「祈り」というタイトルの絵が二つ。SMAPがどうにか生きながらえることができるように、っていう祈りだったのでしょうか。

下はどう見てもSMAPの5人。慎吾ちゃんから見ると上二人はやっぱり大きく見えるんだね。見えにくいけど茶色の大きい人は赤い線で描かれたタンクトップを着ているので間違いなく木村さん。「上2人は化け物(いい意味で)」「上2人の前に道はない」、3人は2人の背中を見て必死に追いていったんだよ、みたいな発言してたもんね。でも、この絵のタイトルは「祈り(2013)」なの。5人が一緒にいられなくなるような状況が、2013年にはもう見えていた、ってことかな。

SMAPが壊される頃にはもちろん下のようなおどろおどろしい絵も描いてるんだよね。タイトルの「Otomodachi」は皮肉?

2013年に何が起こっていたのか、私たちが知ることはないと思うけど、2014年の27時間テレビでさんまさんのペンギンスマの時に「事務所と揉める〜や」って言わせていたから、SMAPに近い業界の人たちは知っていたんだろうね、もちろん5人がそこまでいろいろ嫌がらせを受けて、SMAPが解散させられる瀬戸際だったことは知らないだろうけど。

こういう絵を何枚も描いた慎吾ちゃんの心情を察すると胸が痛くなるけど、ファンだったら受け止めてあげたいよね。

そして、最後にコメントしたいのは「クソ野郎と美しき世界」の映画に出てきた歌食いの絵。

この絵は、メイキングのビデオを見ればわかる通り、映画のために描いた絵。ブログを読んでくれてるみなさんがどう思われるかわからないけど、この絵は確かに素敵だし、力もあるし、ファンタジックでミステリアスな様子が出てるんだけど、上に上げた何枚かの絵と違って慎吾の激情が感じられない。ちょっと不気味だけど心が痛くなるような絵ではない、「お仕事の絵」だと思う。

もう少し突っ込んで解釈してみれば、ジャニ事務所を抜けて慎吾もいろいろ安心して怒りや不安や悲しみをぶつけたような絵はあんまり描かなくなった、とも考えられないかな?私が思っていたのよりSMAPの復活は遅れそうだけどこの絵を描いた時点では慎吾は絶対に絶望してはいない。SMAPは復活途上にあるんだよ。

おまけ:
五輪の色を配して描いた一連の絵「SUKIYAKI」シリーズも飾られていましたね。知ってる人も多いと思うけど、日本の歌の中で海外でもっとも有名な「上を向いて歩こう」、慎吾ちゃんも大好きな歌なんだけど、あっちでは「SUKIYAKI」って呼ばれているんだよね。

そしてこの歌は2007年、それぞれの映画のプロモーションのために木村さんと慎吾ちゃんが2人でカンヌの映画祭に行ったときのスマスマ特番で、カンヌ郊外にある何百年も前に作られた秘密の野外劇場に案内してくれたおじさんの前で歌った歌なのでした。

モアイ、尊い!!!!!

Yumey

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